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東京地方裁判所 昭和43年(借チ)1073号 決定

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

〔決定理由〕二……借地契約は昭和四二年二月二八日更新され、残存期間は昭和六二年二月二七日までとなつたものと認められる。

本件増改築は、建築関係法規にも適合しており、本件土地の利用上は相当なものであると解され、近隣に対しても格別影響を及ぼすところはなく、その他に本件増改築を不相当とすべき事情は認められない。よつて本件増改築は許可するのを相当と認める。

三、そこで、附随の処分の要否、内容等について検討する。

(1) 本件資料によれば、本件建物は考朽化しているので、土地収用のため収去されることがないとしても、残存期間内には朽廃に至る可能性が認められる。そこで、申立人は本件増改築の許可を得て建物を新築することにより、右の借地上の建物の朽廃による借地権消滅の危険を免がれ、残存期間の満了をむかえても、借地契約が更新する可能性も強化され、今後なお長期にわたつて本件土地の使用が保障される。一方相手方らは、右の借地権消滅によつて本件土地の返還を受け、自らこれを使用し又は新たに相当な対価を得て第三者に賃貸して得べかりし利益取得の機会を逸するか、或いは、その機会が著しく遠のくことになる不利益を受ける。なお、借地法第四条第二項により建物の買取請求を受けた場合、或いは同法第九条の二第三項により建物を買受ける場合に、その対価として、現在の建物より高額の出捐を余儀なくされることは明らかであるけれども、新築建物の種類、規模等は、通常の居住用建物であり、客観的に相当な対価でこれを取得するのであるから、この点で格別に不利となることはないと解する。

以上の当事者双方の利害を調整するために、本件申立を認容するについては、附随処分として申立人から相手方らに対し財産上の給付をさせる必要がある。

右の給付額について、鑑定委員会は、本件土地の更地価格を3.3平方米当り金二七万円と評価し、本件土地全体について、右更地価格の五パーセントに当る金五六万七、〇〇〇円に、さらにその一〇パーセント金五万六、七〇〇円を加えた金六二万円(一万円未満切捨)とするのを相当としている。しかし、右は、財産上の給付を借地契約の更新の際に授受される更新料に相当するという前提のもと出された意見であり、東京都内において、右契約の更新に当り更新料が授受される一般的な慣行があるとするのは早計であり、また、それが、単に契約更新そのものに対する対価ではなく、不足賃料の支払の趣旨をも含むとしても、借地法の趣旨から考えこの更新料の支払が直ちに合理的なものと認めるわけにはいかない。もつとも、前記当事者双方の利害を正確に算定する方法はないが、当裁判所は前記認定の諸事情及び本件借地契約においては、これまで権利金等の賃料以外の金銭の授受がないことその他土地収用の事情等を考慮し、更地価格については、3.3平方米当り金二七万円とする鑑定委員会の意見を採用し、その約三パーセントに当る金三五万円を給付させるのを相当と認める。

(2) 次に賃料については、本件資料によれば、昭和四二年四月一日以降3.3平方米当り一箇月金四〇万円であるが、鑑定委員会は、近隣土地の賃料及び前記土地収用後の本件土地の状況の変化等を考慮し、3.3平方米当り一箇月金六〇円とするのが、相当であるとしており、これについては申立人も格別異議を述べていない、当裁判所もこれを採用し、本件土地全体について一箇月金二、六〇〇円とする。(福嶋登)

別紙

目録

(一) 借地権の目的土地

(1) 収用前東京都葛飾区亀有三丁目八九番地

宅地1416.66平方米(428.57坪)の内231.04平方米(70坪)

(2) 収用後右(1)の内143.73平方米(43.48坪)

(二) 借地契約

(1) 成立 昭和二二年二月二八日

(2) 種類及び目的 堅固でない建物所有を目的とする賃借権

(3) 残存期間 昭和六二年二年二七日まで

(4) 賃料 一箇月金二、八〇〇円(収用前の土地につき)

(三) 建物

木造瓦葺平家建居宅 一棟

床面積 66.82平方米(20.25坪)

(四) 増改築の内容

右(三)記載の建物を取毀し、左の建物を新築する。

(1) 木造モルタル塗瓦葺二階建居宅 一棟

床面積一階 54.12平方米(16375坪)

二階 47.93平方米(14.5坪)

(2) 附属建物

木造モルタル塗瓦葺平家建浴室 一棟

床面積 4.95平方米(1.5坪)

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